ひさしぶりに読み返したら面白かった。


四季 春 (講談社文庫)四季 春 / 森 博嗣
「冬」だと話がかなり断片的になるのだが、「春」の初めに「空間、そして時間。それらのいずれとも、彼女は乖離していた。」と書いてあった。本人から見るとああなるのだね。なんか、ミステリーの手法で書かれていたのだなと妙に納得した。それにしても、自分を時間と空間の軸の中に位置づけられないというのは、実際に自分の身になってみたら、えらく孤独だろうなと思う。あと、天才とはいえ、初めにはインプットが必要だっていうのが妙に納得したというか励まされた。


四季 夏 (講談社文庫)四季 夏 / 森 博嗣
というわけで、「夏」も読んでみた。たとえ行列の計算を暗算でできても、その人が幸せかどうかなんて何の関係もないんだなあと思ったりした。なんか予想外のファクタを取り入れるとか言って、人生に飽きた人みたいなんだもの。瀬在丸紅子のように、結婚という様式に流れるのが堕落であるならば*1、四季なりの正しさに沿うしかなかったのだろう。「私は、しようと思ったことを、しなかったことは一度もないわ」なんて一度言ってみたいけれど。

*1:離婚したけれど。