暗渠

虹ヶ原 ホログラフ
虹ヶ原 ホログラフ / 浅野 いにお


榊(元)先生が「汚れた下水の上に人が暮らしているのと同じじゃない?どんなに忘れよう、隠そうとしても奥の奥に存在してるの。だから私はいつまでたっても心がふらふらするのよ」って言うのが、人が生活している下に下水が流れていることと、人の心の奥に見えない闇があるってことがちょうど相似形ってことなんだと思う。それで暗渠が表に出てくるところが虹ヶ原で、幻想と現実が出会う場所なので、小松崎くんの居場所になる*1。小松崎くんは暗闇の中を進んで、出口に出れたみたいでよかったね。


卑怯者 怠け者 嘘つき 臆病者 てあるけど、みんな簡単に人を殺しすぎだと思う。必要なのは多分自制心だよな。そう思った。


荒川さんの絵が表面的なのは、有江を殺そうとしたことが引っかかってるからだし、でもなんか最後は吹っ切れたみたいだ*2。若松くんは思うところあって警察官になってるし*3。鈴木くんは幸せになれたのかな?2つに分かれた蝶のペンダントは、別々になった双子を現していると思うんだけど、虹ヶ原(=暗渠が表に出ているところ)に帰ってくることは、自分の心の暗部と向き合うことなので、そこでもう一人の自分(双子)と出会い、一体化するわけです。性描写てしょうがないけど必然なのかなと思うのです。そこで母親への思慕とか憎悪が出てきて最後、蝶(一体化した魂)になって成仏するのかしら。でもそれって心の話で。ここは虹ヶ原だから。なんとなく、ハッピーエンドっぽい?みんな?と思いました。でも、日暮さんはかわいそうだな。

*1:p217 自己の喪失

*2:蝶を殺すところ。

*3:顔の傷は心の傷が残っていることの現れだろう。