猫だけが行ける場所

夜に猫が身をひそめるところ Think―ミルリトン探偵局シリーズ〈1〉 (ちくま文庫)
夜に猫が身をひそめるところ Think / 吉田 音
ミルリトン探偵局シリーズの第一巻。第二巻が小説っぽい群像劇で完成度高し! なのに対し、本作はなんだか著者の音さんの思いがあふれてる感じがする*1

つまり「夜に猫が身をひそめるところ」ってどこだろう? と考えたとき、猫はやっぱり人と付かず離れずの、ちょうどいいところに身を置くんじゃないかな、ということだ。「猫だけの世界」に行ってしまうんじゃなく、ちょっとだけ人とつながっている場所−−−それはきっと路地裏のような場所であって、何か晴れがましいことが行われている、そのうしろの隅のところ。そこにもやっぱり人が居て、そのまた隅の方にささやかな陽だまりがある。−−−そういうのが猫にはいちばん居心地いいんじゃないかと、わたしは思うのだ。

これってファンタジーの定義そのものだという気がする。猫は、人の現実と虚構を行きつ戻りつする。

写真がいいですよね。午後4時の公園とか、みんなで行った荒川の河川敷とか。

さて、自分の下の水脈に従って、やがてくる洪水のときに。自分ならどこに流れていこう?

*1:架空の人物らしいです。