闘争と逃走

自閉症だったわたしへ (新潮文庫) 自閉症だったわたしへ / ドナ ウィリアムズ
原題は、"Nobody Nowhere" 。どこにもいなかったわたしが、やがて自分を発見し他の人を発見する。ひとりひとりが歩いている、暗い細道のところで、涙が出た。みんなが、暗い道のなかで、他の人と出会えるといいなと思った。

そうして、なぜかはわからないがふとわたしは、この世にはわたしたちと同じような人がもっと大勢いるのではないか、と思った。ショーンとわたしが出会ったのと同じような細道で、うまく生きてゆけるようになる人もいれば、決してうまくゆかない人もいることだろう、とも。わたしたちがたどっている道は、いたるところに暗い落とし穴が開いている細道だ。<中略>そこを、わたしたちはたった一人で歩いている。