ブリグリの話(と、ちょっとエヴァ)

前々回のだとちょっとわかりにくいので、ブリグリの話を書こうと思います。とはいえ、やっぱりわかりにくいと思う...。

自分を開くこと

BYE! MY BOY!

BYE! MY BOY!

There will be love there と 長いため息のように のデモ版収録。くしくも2曲とも、同じことを言っているように思える。それは、自分の中で閉じているのをやめて、好きな人に自分を打ち明けてしまおうということ。世界側から見れば恋愛の歌だが、自分側から見ると内閉からの脱出となる。

大きな曲がり角を曲がったなら走り出そう
とまどうことはもうやめて
                      / There will be love there
今あけてゆく空に誓ったどんな悲しみも
この手に受けて強い気持ちで感じてゆく事を
                      / 長いため息のように

傷つくことを厭わず自分を開いていくこと、このことこそが初期ブリグリの重要なテーマとなっている。

tbg

the brilliant green

the brilliant green

ファーストアルバムは、だから自分をさらけ出す詞が上位構造で、それ以前からの洋楽風ロックが下位の2重構造になっていて、それで成立している。ここから歌詞が日本語になるのは偶然ではない。詞の世界と曲の世界が拮抗しており、ここで、自分たちのロックを掴んでいる。だから、アルバム名もバンド名 the brilliant green になっている。

夜のなかで

LosAngeles

LosAngeles

大恋愛アルバム、と発売当時、メンバー自身も言っていた、サードアルバム。恋愛をするには自分の内閉から抜け出さないといけない。とすればいつまでも自分の中の世界を保ってはいられない。アルバム名 Los Angels の意味は Lost Angel(天使を失う)である。全編歪の中なのは、それが夜の間に行われることの象徴である*1。自分の中の天使が、夜の間に出て行ってしまうのが、サヨナラ summer is over であり、アルバムジャケットのtommyは、駅へと急ぐ自身の分身の姿なのである。*2Hello Another Way は、シングルでは、大切な友人との別れの歌であるが、アルバムの中では、自分自身との別れの歌なのだ。TERRA2001からのシングルカット曲 そのスピードで のPVで、古城を歩き回るダースベーダーみたいな存在が出現するが、Hello Another Way のPVにおいては、甲冑に身を包んだ騎士がかぶとを取り、影の存在は自分自身であったことが明らかにされている*3

原点回帰

THE WINTER ALBUM

THE WINTER ALBUM

詞の世界と曲の世界が独立して在り拮抗しているのがブリグリの世界だったのだが、前作で上位構造となる一方の核を失って、バンドは洋楽風ロックバンドに原点回帰する。ウインターアルバムは、ファンのための幕引きのアルバムでもある。*4

そしてその後

Stand by me(初回生産限定盤)(DVD付)

Stand by me(初回生産限定盤)(DVD付)

恋愛が叶った後、人とどう向き合うか。多分それって恋愛よりもずっと大切だし難しいことだと思う。There will be love there の後を描いた歌。

There will be love there
There will be love there
いつかは 誰かのために生きてゆきたい  / There will be love there


誰かのために泣けるなんて
わからなかった
想うだけで 愛しくて
せつなくなるの            / Stand by me

つながってる感じがする。
ただよりそう(Stand by me)ことが答えなのですね。とても難しいテーマなのですが、ブリグリ、続けて欲しいです。

ところで(付記)

エヴェンゲリオンって、自我境界とひととつきあうということについて、というか描かれていることは実はほとんど同じなんだっていうことに最近気が付いた。というか、自分がひかれている部分はそういうところだったりする。

付記2

と、知らない間にtommyのblogが終わってた!
Bloglinesというところで、最後のほうのが読めますね。多分無断転載というか、ロボットっぽいけど。でも見れなかったのが見れてうれしいな。でも大変そうです。でもずっと待っていますよ!

*1:発売当時は、当時流行っていたローファイだと思った。

*2:出ていった人はどこへ行ったのか?Los angelsの半年後に登場した、眼鏡の人でしょう。

*3:ちなみに The winter album からのシングルカット Forever to me のPVでは、ベビカーの中のゴブリンが天使となり去ってゆくという、天使を失う、そのままずばりのシーンがある。

*4:蛇足だけど Flowers は 冷たい花 のアンサーソングですよね。